データセンターの液冷は大きく2系統

高密度AIサーバーの冷却で空冷が限界に近づく中、液体で熱を運ぶ「液冷」が広がっている。液冷は方式が一つではなく、大きく直接液冷(DLC)と液浸冷却(immersion)の2系統に分かれる。どちらも空気より熱を運ぶ能力が高いが、仕組み・適用のしやすさ・保守の作法が異なる。

直接液冷(DLC / direct-to-chip)とは

直接液冷は、CPU/GPUなど高発熱の部品にコールドプレートを密着させ、その内部に通した液体で熱を回収する方式だ。サーバー全体を液体に浸すのではなく、熱い部品だけを局所的に冷やすのが特徴で、メモリや低発熱部品は空冷を併用する構成も多い。既存のラック・サーバー構成を比較的活かしやすく、導入のハードルが低い。

商品化も進んでいる。CoolITのラック型CDU(冷却液分配ユニット)「CHx200」は、4Uの筐体で200kWの熱負荷を処理し、最大200サーバーを冷却できるとされる(温水冷却対応・N+1冗長ポンプ/電源)(CoolIT Systems)。NVIDIAのGB200 NVL72のようなラックスケールの液冷設計も、こうした直接液冷を前提にしている(NVIDIA)。

液浸冷却(immersion)とは — 単相と二相

液浸冷却は、電子機器を誘電性(電気を通さない)の液体に直接浸す方式だ。部品と液体が直接触れるため熱の移動効率が高い。液浸はさらに2つに分かれる。

  • 単相(single-phase):液体が沸騰・気化せず、循環と熱交換器で熱を運ぶ。
  • 二相(two-phase):液体が部品の熱で沸騰して気化し、凝縮器で液体に戻る。相変化を使うため、単相より高い熱伝達が得られるとされる。

学術研究では、液浸冷却は空冷比でエネルギー消費を約50%、占有スペースを約3分の2削減できるとの報告もある一方、保守性やIT機器の扱いにくさといった課題も指摘されている(arXiv)。高い冷却能力と引き換えに、運用・保守の作法が空冷から大きく変わる点が実装上の論点になる。

DLCと液浸の使い分け
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直接液冷(DLC)

高発熱部品をコールドプレートで局所冷却。既存ラックへの適用がしやすく、導入のハードルが低い。低発熱部品は空冷併用も。

02

液浸(単相)

誘電性液体に全体を浸す。高い冷却能力。配線・保守の作法が空冷と変わる。

03

液浸(二相)

相変化で更に高い熱伝達。冷媒・凝縮器の設計と故障モード管理が要点。

04

選定の観点

熱処理能力・既存設備の活用・保守性・エコシステム成熟度(OCP等の標準化)で総合判断する。

まとめ

DLCは「熱い部品を局所的に冷やす・既存構成を活かしやすい」、液浸は「全体を浸して高い冷却能力を得るが運用・保守が変わる」という違いに整理できる。どちらを選ぶかは、ラックの電力密度・既存設備・保守体制・標準化の成熟度で変わる。冷却方式の選択は電源・パワーデバイスの設計前提にも波及するため、詳細は関連記事で扱う。

参照ファクトカード