AIデータセンター向け電力需要が、パワー半導体メーカーの業績回復を後押ししている。米onsemiと独Infineon Technologiesがそれぞれ2026年5月初旬に発表した決算は、同じ構造を映し出していた。

onsemi:PSGが前年比+14%でけん引、AI電源は2倍超

onsemiの2026年第1四半期(1〜3月)売上高は13億1,330万ドルで、前年同期比5%増加した(出典:SEC EDGAR Form 8-K、2026年5月4日)。セグメント別では、電力ソリューション部門(PSG)が前年比14%増の7億3,660万ドルと全社成長をけん引した。PSGにはAIデータセンター向けの電源管理ICや整流デバイスが含まれる。

AIデータセンター向け売上は前年比2倍超に達し、前四半期比では30%増と加速している。onsemiは大手ハイパースケーラーや複数のチップベンダーへの採用が広がったと説明している。

一方、車載部門(AMG)は5億4,040万ドル(前年比5%減)と引き続き軟調だが、次世代EV向けの動きは続いている。同社は900V EVアーキテクチャ向けSiC(EliteSiC)で中国EVメーカーGeely・NIOとの協業を拡大しており、高効率充電と航続距離延長に対応する製品展開を進めている。第2四半期のガイダンスは15億3,500万〜16億3,500万ドル(ミッドポイントで前年比+12%)と、回復ペースの加速を示唆する。

Infineon:€3.812Bで通期見通しを上方修正

Infineonの2026年度第2四半期(2025年10月〜2026年3月)売上高は38億1,200万ユーロ、セグメント利益率は17.1%だった(出典:Infineon公式プレスリリース INFXX202605-082、2026年5月6日)。翌Q3のガイダンスは約41億ユーロ(前四半期比+8%)と成長加速を見込む。

通期FY2026の売上見通しは「緩やかな増収」から「大幅増収」に引き上げられ、年間売上高は16億ユーロ超の見込みとなった。CEOのJochen Hanebeck氏はAIデータセンター向け電力供給ソリューションの需要を「極めて堅調」と表現した。同社はFY2026第4四半期から事業部を4部門から3部門(Automotive・Power Systems・Edge Systems)に再編する。

示唆:AIと車載の2軸で設計・調達判断を再整理する時期

両社の決算が共通して示すのは、パワー半導体市場の回復がAIデータセンターとEVの2軸で進んでいるという構造だ。AIデータセンター向けはonsemiのAI電源売上が1年で2倍超になるほど急拡大しており、電力変換・整流デバイスのサプライヤー競争が激化している。

車載向けは回復途上にあるが、Infineonのソフトウェア定義車両(SDV)でのシェア拡大やonsemiの900V EliteSiC展開など、次世代アーキテクチャへの先行投資は続いている。電力・設計部門は、AIインフラ向けと車載向けの製品系列の調達計画を分けて管理することが求められる局面に入っている。