ルール改革が動き出した ― ANOPRという起点
データセンターの系統接続は、いま制度の側から動き始めている。米連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2025年10月、大規模負荷(ラージロード)の接続に関するANOPR(規則制定の事前通知)を発出した。これは「接続の入口をどう設計し直すか」を問う公式の検討プロセスで、FERCはこのドケットに寄せられた3,500ページを超える意見を審査し、2026年6月までに対応方針を示すとしている。個別の系統運用者の判断ではなく、連邦レベルで接続ルールそのものを見直す段階に入った。
なぜ今か ― PJMの需要が15年で70GW増える
背景にあるのは需要の桁が変わったことだ。北米最大級の系統運用者PJMでは、夏季ピーク需要が今後15年で約70GW増加し、220GWに達する見通しが示されている。このうちデータセンター由来の電力需要は、2025〜2030年だけで最大30GW増える見込みだ。新設データセンターの立地は、用地や電力契約よりも「系統につなぐまでの時間」に縛られており、需要の急増が接続キューを一段と圧迫している。
迅速化と家庭料金保護を両立できるか
FERCの動きは迅速化だけが目的ではない。2025年12月にはPJMに対し併設負荷(コロケーション)ルールの透明化を命じ、接続プロセスの標準化を進めてきた。同時に、2026年3月に示されたRatepayer Protection Pledge(料金者保護の枠組み)も検討の対象に含めており、大口需要家の接続を速めつつ一般家庭の電気料金への波及を抑える設計を探っている。迅速化と公平な費用負担の両立が、改革の成否を分ける論点になる。
設計・立地への示唆
事業者にとっては、接続プロセスの標準化・短縮が進めば、これまで断念していた候補地が再び現実味を帯びる。一方で料金者保護の枠組みが同時に入る点は、大口需要家側の費用負担設計に影響しうる。変圧器不足という物理制約(データセンター変圧器の長納期はなぜ)と、接続ルールという制度制約を、両面で同時に追う必要がある。
制度
FERCがANOPR(2025/10発出)で接続ルールを再設計中。3,500ページ超の意見を審査し2026年6月までに対応方針。
需要
PJM夏季ピークは15年で約70GW増→220GW。うちデータセンター由来は2025〜30年で最大30GW増。
公平性
迅速化と同時に家庭料金保護(Ratepayer Protection Pledge, 2026/3)を検討。費用負担設計に影響。
