ハンドブックの一部改訂、きっかけは5月の注意喚起

日本のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)事務局は2026年7月31日、既公表のSSBJハンドブックの一部を更新・再公表した。対象は「SSBJ基準のすべての定めに準拠していない場合の開示」で、バージョンは2.0に改訂されている。改訂の直接のきっかけは、SSBJが5月27日に公表した「有価証券報告書におけるSSBJ基準への言及について(注意喚起)」だ。有価証券報告書での基準引用の仕方をめぐり企業側に混乱が生じていたことが背景にある。

ハンドブック≠基準——法的拘束力なし

まず整理すべきは、「ハンドブックの更新」と「SSBJ基準の改正」は別の出来事だという点だ。SSBJハンドブックは委員会の審議を経ずに事務局が作成する解説資料であり、SSBJ基準そのものではない。そのため、ハンドブックの記載に従わなくても「SSBJ基準に準拠している」と表明することは可能だ。準拠の判断根拠は基準文書そのものに求めることになる。

ただし、規制当局や監査法人が解釈の参考としてハンドブックを参照する可能性はあり、拘束力がないことがそのまま「無視してよい」を意味するわけではない。SSBJ事務局はハンドブックについて「予告なく差し替える可能性がある」とも明記しており、掲載論点は関係者からの質問頻度や事務局リソースを考慮して選定される。

SSBJハンドブック改訂の要点
01

対象

「SSBJ基準のすべての定めに準拠していない場合の開示」がVer.2.0に改訂。

02

位置づけ

事務局作成の解説資料。委員会審議なし・法的拘束力なし・SSBJ基準そのものではない。

03

改訂契機

5月27日公表の「有価証券報告書におけるSSBJ基準への言及」注意喚起。

有価証券報告書の開示担当者にとっての実務対応は、最新版Ver.2.0と自社の開示方針を照合し、「基準に準拠している」と記載する根拠・検証プロセスを社内で言語化しておくことだ。ハンドブックが予告なく差し替わる性質を踏まえ、一度確認して終わりにせず、定期的なモニタリング体制を前提にする必要がある。

参照ファクトカード