台湾の電源大手Delta Electronicsは2026年9月29日、シンガポールで開かれたData Center World(DCW)Asia 2026で、NVIDIA Vera Rubinアーキテクチャ向けのAIモジュラー・データセンター(AI MDC)を発表した。工場で組み上げるプレハブ型で、次世代の800VDCインロー電源と液冷システムを一体化している。
同時に、再生可能エネルギー、蓄電池、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、固体変圧器(SST)を組み合わせたマイクログリッドも示した。データセンターの中の配電と、敷地の受電・発電を、同じ800VDCの考え方でつなぐ提案だ。
800VDCインロー電源の仕様
800VDCインロー電源
出力660kW、AC-DC効率最大98%、BBU容量480kW。
インローCDU
HVDC対応、3.6MW。液冷の熱を列単位で処理する。
コンテナ型DC(CDC)
駐車スペース1台分でラックあたり最大60kW、PUE 1.19。
マイクログリッド
再エネ・蓄電・SOFC・SSTを統合。中電圧から800VDCへ直接変換し、系統接続の遅れにも対応。
「インロー」はサーバーラックの列の中に電源や冷却装置を並べる配置を指す。電気室で一括して変換するのではなく、ラック列ごとに800VDCを供給する形だ。NVIDIAが主導する800VDCへの移行は、Vertiv・Schneider Electric・Foxconnの導入計画で見たように、2026年から2027年にかけて製品化の段階に入っている。Deltaの発表もその流れにある。
小規模向けには、プレハブ型のAIコンテナ・データセンター(CDC)も示した。駐車スペース1台分の面積でラックあたり最大60kWのAI演算を収容し、液体-空気CDUを組み合わせてPUE 1.19を達成するとしている。基板レベルでは、Vera Rubin NVL72専用のコールドプレートも展示した。
マイクログリッド:系統接続を待たずに動かす
マイクログリッドの中心はSSTだ。Deltaは、SSTを中電圧の電力を800VDCへ直接変換するために欠かせない機器と位置付ける。DC結合のプレハブ構成で、SST、DC/DCコンバーター、蓄電を組み合わせて変換段数を減らし、AI負荷の変動に応答する。
もう一つの狙いは、系統接続の遅れへの備えだ。複数の電源をリアルタイムで制御し、系統への接続が遅れている間や系統から独立して運転する間も、稼働と電力品質を保つ。SOFCは24時間の現地電源を担う。
SSTについては、DG MatrixがSiCを使って出力を400kWへ倍増するなど、データセンター向けの製品発表が続いている。Deltaは電源・冷却・マイクログリッドを「Grid-to-Chip」の製品群としてまとめて提案する。
設備計画・調達にとっての意味
- 電源の単位が変わる:800VDCの電源がラック列単位のモジュールとして売られ始めた。電気室の設計を先に固めるより、ラック列の増設に合わせて電源を足す計画が取りやすくなる
- 系統待ちへの対策が製品に入った:系統接続の遅れを現地電源で補う構成を、電源メーカーがデータセンター設備の一部として売り込んでいる。接続時期が読めない案件では、受電計画と並行して検討する価値がある
- 数値は展示品の仕様:今回の数値は展示会での発表で、出荷時期や価格、採用事例は開示されていない。調達判断には個別の確認が必要になる
