onsemiが「全電圧帯のGaN」を打ち出した
onsemiはPCIM Europe 2026で、GaN(窒化ガリウム)パワー製品のプラットフォーム「GaNEXUS」を打ち出し、GaNへの本格参入を鮮明にした(Power Electronics News(PCIM 2026 取材))。注目すべきは、単一製品の投入ではなく、低電圧から650Vまで電圧帯を横断する展開を、外部ファウンドリ・GaN専業との協業を組み合わせて進める点だ。
AIサーバーの電源やラック内DC-DCでは、高スイッチング周波数で受動部品を小型化できるGaNの採用が広がっている。onsemiの動きは、データセンター電源という需要拡大領域に向けた供給側の再編の一例といえる。
GlobalFoundriesと650V、Innoscienceと40〜200V
onsemiは2つの協業を公表している。
一つはGlobalFoundriesとの650V GaNだ。onsemiのシステム・製品・パッケージ技術と、GlobalFoundriesの650V GaNプロセスを組み合わせ、高い電力密度と効率のデバイスを供給する。サンプル提供は2026年上期を予定し、想定用途にはAIデータセンター向けの電源・DC-DCコンバータ、EVのオンボードチャージャー、太陽光マイクロインバータ・蓄電などが挙がっている(onsemi 公式リリース(投資家向け))。
もう一つはInnoscienceとの協業(MoU)で、40〜200Vの低電圧GaNが対象だ。onsemiの集積・パッケージ技術と、Innoscienceの量産実績のあるGaN技術を持ち寄り、こちらも2026年上期のサンプル開始を見込む(onsemi 公式リリース(投資家向け))。あわせてonsemiは縦型GaNのサンプル化にも言及しており、低電圧から高耐圧まで全方位でGaNを取りにいく姿勢を示している。
650V:GlobalFoundries協業
GFの650V GaNプロセス+onsemiのドライバ/制御/パッケージ。用途にAIデータセンター電源・DC-DC、EV車載充電器、太陽光・蓄電。
40〜200V:Innoscience協業(MoU)
Innoscienceの量産GaN+onsemiの集積・パッケージ。低電圧帯のGaN展開を加速。サンプルは2026年上期見込み。
縦型GaN:自社サンプル
縦型GaNのサンプル化にも言及。低電圧から高耐圧まで全帯域を狙う布陣。
なぜ「全帯域」なのか——データセンター電源の取り合い
GaNの強みは650V以下の領域で高周波・高密度の電力変換ができることにある。AIサーバーのPSU内部の変換段やラック内DC-DCはまさにこの領域で、800V DC化が進む中でも、最終段の高周波降圧ではGaNの採用余地が大きい(800V DC移行は関連記事で詳述)。
onsemiが外部ファウンドリ(GlobalFoundries)と専業(Innoscience)を同時に組むのは、自社ファブだけでは間に合わない需要の立ち上がりに対し、供給と電圧帯を一気に押さえる狙いと読める。GaN市場ではNavitasやInnoscience、Infineonなどが先行・競合しており、データセンター電源という拡大領域を巡る供給側の競争が一段と激しくなっている。
調達・設計の観点では、サンプルは2026年上期予定であり、評価ボードでの実測・認定はこれから本格化する。AIデータセンター電源にGaNを採用する側にとっては、複数サプライヤーの650V/低電圧品を横並びで評価できる環境が整いつつある、というのが今回の実務的な意味だ。
