米証券取引委員会(SEC)は2026年5月29日、2024年3月に制定した気候関連開示規則を全面的に撤回する案を正式に提案した。SECは、同規則が法定権限を超えるとして、全廃の方針を示している。

撤回の内容

撤回の対象となるのは、1933年証券法および1934年証券取引所法に基づく改正規則で、登録企業に対しGHG排出量、気候リスク管理、異常気象による財務影響の3項目の開示を求めていた。SECは2024年4月4日、訴訟が完結するまで同規則の施行を停止しており、今回の提案はその後の撤回手続きを正式に進めるものだ。

SECの主張

SEC議長のPaul Atkins氏は、開示義務は重要性(マテリアリティ)を基準とし、コストに見合う便益がある場合にのみ課すべきだとの考えを示した。SECは、気候開示規則が登録企業ごとの重要性に基づくアプローチと整合しないと位置づけている。

経営・開示への示唆

米国連邦レベルの気候開示が後退する一方で、カリフォルニア州のSB 253や欧州のCSRDなど、州・地域単位の開示義務はむしろ前進している。グローバルに事業を展開する企業にとっては、連邦規則の撤回が開示負担の軽減に直結するとは限らず、適用される州法・域外規制ごとに要件を整理する必要がある。開示ルールが地域ごとに分岐する状況をふまえた対応が求められる。

参照ファクトカード