チップレット密度を決めるのは「接合」
チップレットをどれだけ高密度に積み、つなげるか——それを物理的に決めるのがボンディング(接合)技術だ。従来のはんだバンプに代わり、銅を直接つなぐハイブリッドボンディングが、次世代の本命として立ち上がってきた。CoWoSやHBMが実装の「器」だとすれば、ハイブリッドボンディングはその中でチップレット密度と電力効率を引き上げる中核工程にあたる。
この領域を主導するのは、意外にもアジアではなく米国と欧州だ。米Applied Materialsと蘭Besiの連合、そして独SÜSS MicroTec。装置は先端パッケージの単一障害点になりやすく、誰がどの精度を握るかは供給の要所になる。
ハイブリッドボンディングとは何か
ハイブリッドボンディングは、銅-銅の直接接合によってチップレット密度と電力効率を高める次世代の実装技術だ。はんだバンプを介さず金属を直接つなぐため、I/O密度を大きく高められる。狙う市場はHPC・AI・5G・データストレージ・車載の5領域にわたり、AIだけでなく高性能計算全般の性能を左右する。
象徴的なのは、装置大手の姿勢だ。Applied MaterialsのAdvanced Packaging担当コーポレートVPは、ムーアの法則の限界を公式に認め、「新しいプレイブック」を提唱した。前工程の微細化一辺倒から、実装で性能を伸ばす路線への転換を、装置側が明言した格好である。
Applied×Besi——業界初の統合ボンダー
Applied MaterialsとBesiは2020年から協業し、ダイベースのハイブリッドボンディング向けに業界初の完全装置ソリューションを開発してきた。両社の共同プログラムは、「フロントエンド材料工学×バックエンド先端パッケージング」の技術融合体制として設計されている。前工程の材料・プロセス技術を、後工程のボンディングへ持ち込む狙いだ。
連携は資本面でも強化された。Applied Materialsは、共同開発の相手であるBesiの発行済株式の9%を取得した。Besiは半導体組立装置の主要メーカーで、ダイ搭載・インターコネクト・組立の分野でリーダー的地位にある。Applied Materialsはハイブリッドボンディングを「AIチップの基盤」と位置づけ、戦略的な重要性を強調している。
SÜSS MicroTec——W2W/D2W統合の世界初
欧州勢も先頭を走る。独SÜSS MicroTecのXBC300 Gen2は、W2W(ウェーハ対ウェーハ)・集合型D2W・逐次D2W(ダイ対ウェーハ)を1つのクラスターに統合する世界初のハイブリッドボンディングプラットフォームだ。用途に応じて接合方式を使い分けられる柔軟性を、1台に集約した。
精度も高い。XBC300 Gen2は、SET Corporation SAのNEO HBダイボンダーにより±100 nmの精度・最大300 Nのボンド力を実現し、W2WボンディングではISA技術によって100 nm未満のアライメント精度を達成する。200 mm〜300 mmのウェーハと、テープフレームキャリア上のダイの両方に対応し、多様な生産形態をカバーする。ナノメートル級のアライメントが歩留まりを決めるこの工程で、装置の精度がそのまま競争力になる。
装置競争の読み方
ハイブリッドボンディング:主要プレイヤー01
Applied×Besi(米・蘭)
2020年から協業で業界初の統合ダイボンダーを開発。Applied がBesi株9%取得で連携強化。HPC/AI/車載など5領域を狙い「AIチップの基盤」と位置づけ。
02
SÜSS MicroTec(独)
XBC300 Gen2はW2W・集合型/逐次D2Wを1クラスター統合の世界初機。±100 nm精度、W2Wは100 nm未満。200〜300 mmとテープフレーム両対応。
03
なぜ本命か
銅直接接合でI/O密度と電力効率を向上。装置VPがムーアの法則の限界を認め、実装で性能を伸ばす「新プレイブック」を明言。
04
調達への含み
ナノメートル級のアライメントが歩留まりを決める単一障害点。誰がどの精度・方式を握るかが、先端パッケージ供給の要所になる。
事業への影響と確認ポイント
調達・投資の観点で押さえるべきは、①採用する先端パッケージがハイブリッドボンディングに依存するか、その装置供給(Applied×Besi/SÜSS等)が確保されているか②W2W/D2Wのどの方式が自社の設計・生産形態に合うか③装置のアライメント精度・スループットが歩留まりと量産性をどこまで実効化するか——である。ボンディング装置は目立たないが、チップレット密度と歩留まりを物理的に決める単一障害点であり、装置競争の行方を追う価値がある。
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