Infineon Technologiesは2026年10月8日、AIサーバー向けの27kW三相電源ユニット(PSU)のリファレンスデザインを発表した。対象はサーバーのODMとOEMで、Open Compute Project(OCP)のOpen Rack V3(ORV3)仕様とAIサーバーラックの要件を満たす。

Infineonは発表の背景として、GPU性能とラック密度の上昇により、800VDCまたは±400VDCの給電アーキテクチャへの移行が進んでいることを挙げた。部品単体ではなく電源ユニットの参照設計まで用意し、ODM・OEMの開発期間を縮める狙いだ。

主要仕様

見るポイント
01

効率

ピーク98%超(480VAC・負荷50%)。5レベルANPC方式のPFCと3レベルLLCコンバーター。

02

電力密度

116W/in³。ORV3の最低要件は94W/in³。

03

入力範囲

三相311〜528VAC。力率は大半の負荷域で0.99超、動作周囲温度は-5〜45℃。

04

負荷変動対策

20msのホールドアップ。GPU負荷の急変時に入力電圧を平滑化し、CBUを不要にする。

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SiCとSiを同じ電源で使い分ける

構成部品はすべてInfineon製だ。パワー段には650V CoolSiC MOSFETとCoolMOS MOSFET(シリコン)を併用し、EiceDRIVERゲートドライバー、XENSIV電流センサー、PSOCマイコンを組み合わせる。三相480VACの入力を650V耐圧の素子で扱えるのは、PFCに5レベル、LLCに3レベルの多レベル回路を使っているためだ。

PFC段とLLC段はデジタル制御で動く。PSOC Control C3 Performance Lineマイコンに統合されたプログラマブル電力制御アクセラレーター(PPCA)が、AI負荷の急な変動に合わせて電流と電圧を制御する。トランスには統合型のプレーナー磁気構造を使い、高周波トランスを小型・モジュール化した。

AIサーバー電源でGaNとSiCをどう使い分けるかは設計上の論点になってきたが、今回の参照設計では、650V級のSiCとシリコンの超接合MOSFETを組み合わせている。

コンデンサバンクを電源の中へ

今回の設計で実務上の影響が大きいのは、負荷変動対策をPSUの内部に取り込んだ点だ。GPUの負荷が急変すると、ラックの入力側で電圧が揺れる。これまではコンデンサバンクユニット(CBU)を別に置いて吸収する構成があったが、Infineonの参照設計では統合エネルギーバッファーがこの役割を担い、系統の短時間の乱れにも20msのホールドアップで対応する。

ラックの給電を電源専用ラックに切り出すOCPのDiablo構想のように、ラック内のスペース配分は見直しが続いている。CBUが不要になれば、その分をPSUや演算に回せる。

設計・調達にとっての意味

  • ORV3準拠の参照設計が増えた:電力密度と効率の目標値が示されたことで、ODMが自社設計と比較する基準になる
  • 入力範囲の広さ:三相311〜528VACに対応するため、地域ごとに電源設計を分ける必要が減る
  • 数値は参照設計の値:量産品の価格や採用事例は開示されていない。InfineonはOCP Global Summit 2026(10月12〜15日、米サンノゼ、ブースE26)と10月22日のOktoberTech Silicon Valley 2026で実機を展示する

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