Navitas Semiconductorは2026年10月6日、AIデータセンター向けの統合電圧レギュレーター(IVR)を開発するClaros, Inc.の買収を完了した。合併契約は8月24日に結んでいた。GaNと高耐圧SiCで電源の上流を手がけてきたNavitasが、プロセッサ(xPU)直前の電圧変換まで領域を広げる。
前日の10月5日には、Infineonも8月に発表していたC2i Semiconductorsの買収を完了している。C2iはソフトウェア定義型のマルチフェーズコントローラーとスマートパワーステージを手がけ、Infineonは将来の基板集積型電圧レギュレーター(SIVR)を含む「グリッドからコアまで」の給電を掲げる。同じ週に、プロセッサ近傍の給電を狙う買収が2件完了したことになる。
対価:現金は5割強
見るポイント01
総額
約2億3,280万ドル(2026年8月21日の終値12.97ドル基準)。
02
現金
約1億2,640万ドルをクロージング時に支払い。
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株式
約8,970万ドル分、約690万株をクロージング時に発行。
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アーンアウト
約1,670万ドル。完了から2年間の事業マイルストーン達成に応じて株式で支払い(上限約128万株)。
このほか、Navitasに残るClarosの社員には、事業マイルストーンに連動する業績連動型株式ユニット(PSU)を約2,890万ドル分付与する。対価の半分近くを株式とアーンアウトにして現金の流出を抑え、技術者の定着をマイルストーン連動の株式報酬で担保する構成だ。
技術:電圧変換をプロセッサの直下へ
Navitasの説明では、従来の電圧レギュレーターモジュール(VRM)は基板上で電力を横方向に送るため、数千アンペアと瞬時の応答を求めるxPUでは限界に達する。Navitasはこれを「パワーウォール」と呼ぶ。IVRをチップパッケージや基板の直下・内部に置けば、電力の移動距離はインチ単位からミリ単位に縮み、インピーダンスが下がって応答も速くなる。
ラック単位では800VDCへの移行が進み、上流の変換段数は減りつつある。それでも、プロセッサに大電流を届ける最後の段は、別の課題として残る。今回の2件の買収は、その最後の段を電源メーカーが自社の製品範囲に取り込む動きといえる。
Navitasの見込み:SAMは倍以上に
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Navitasは、Clarosの加入で2030年の特定済みサービス対象市場(SAM)に少なくとも35億ドルが加わり、合計80億ドル超と倍以上になると見込む。既存のGaNと高耐圧・超高耐圧SiCが35億ドル、新しいJFET技術が約10億ドルという内訳だ。いずれも会社の見込みで、売上の見通しではない。
設計・調達にとっての意味
- 給電部品の調達先が広がる:GaN・SiCの電源メーカーが、プロセッサ近傍の電圧変換に参入した。ラックの電源からプロセッサ直下までを1社で揃える提案が増え、基板設計の初期段階から電源メーカーと協議する場面が増えそうだ
- 技術の詳細はこれから:Navitasは10月20日にClarosの技術と差別化要因を説明するウェビナーを開く。採用顧客や量産時期はまだ開示されていない
- Navitasの事業の重心:米国製Gen5 GaNの初出荷に続き、AIデータセンター向けに製品群を寄せる動きが続く。CEOは今回の買収を「Navitas 2.0」と呼ぶ高出力市場への転換の一歩と位置付けている
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