Navitas Semiconductor(Nasdaq: NVTS)は2026年9月1日、GlobalFoundries(Nasdaq: GFS)との協業により製造した第5世代GaNFast技術の初出荷を同月中に開始すると発表した。製造拠点はGFのバーモント州バーリントン工場で、200mmウェハ対応のGaN-on-Si製造ラインを使う。
この発表の意味は、デバイスの性能そのものよりもGaNパワー半導体に米国内の量産供給源ができたという点にある。
提携から量産まで約10か月
NavitasとGlobalFoundriesが長期戦略的パートナーシップを発表したのは2025年11月だった。米国のGaNイノベーションと国内製造を加速することを目的とした契約で、約10か月後の2026年9月に初出荷を迎えたことになる。
GFは数十年の半導体製造実績と大量生産能力を持ち、Navitasにとっては信頼できる国内供給源となる。NavitasはGen 5のGaNFast FETおよびパワーICをこの製造ラインに最適化して開発しており、単なる委託先の切り替えではなくプロセスに合わせた設計が行われている。
Navitas側の技術基盤としては、2014年の創業以来GaN・SiC分野で300件以上の登録済み・出願中特許を蓄積している。プロセス設計キット(PDK)、デバイスアーキテクチャ、集積電力技術における独自技術がGFとの協業を支える構図だ。
対象4用途に「国家安全保障」が入る
Gen 5 GaNFastが対象として掲げるのは、AIインフラ、高性能コンピューティング(HPC)、産業電動化、そして重要国家安全保障アプリケーションの4分野だ。GaNFast FETとパワーICは電力・駆動・制御・センシング・保護を集積した設計を採用している。
製造拠点
GlobalFoundriesのバーモント州バーリントン工場。200mmウェハ対応のGaN-on-Siプラットフォーム。
経緯
2025年11月に長期戦略的パートナーシップを締結。約10か月後の2026年9月に初出荷。
技術基盤
Navitasは2014年創業以来、GaN・SiC分野で300件超の登録済み・出願中特許を保有。PDK・デバイスアーキテクチャ・集積電力技術が強み。
対象用途
AIインフラ・HPC・産業電動化・重要国家安全保障アプリケーションの4分野。電力/駆動/制御/センシング/保護を集積。
国家安全保障用途を明示的に対象へ含めている点は、GaNデバイスの調達において製造地が要件になりうることを示している。防衛関連や重要インフラ向けでは、性能とコストに加えて「どこで作られたか」が採用条件に入る場面がある。国内量産源の確保は、そうした用途で選択肢に残るための前提条件にあたる。
調達判断への影響
GaNの供給網は近年、地政学的な要素が絡む局面が続いている。特許訴訟が実際の供給を左右する事例も出ており、当サイトでもGaN特許戦:InfineonのITC勝訴とWolfspeed提訴で扱った。中国系サプライヤーの位置づけも市場ごとに異なる。こうした環境で米国内に量産ラインが立ち上がったことは、調達先の分散を検討する材料になる。
ただし現時点で公表されているのは初出荷の開始までで、生産能力の規模や価格競争力、既存のアジア製造分との棲み分けは明らかにされていない。国内製造の選択肢が「存在する」ことと「主力として使える」ことの間には距離がある。評価にあたっては、出荷量の推移とデバイス単価がアジア製造品と比較してどの水準に落ち着くかを追う必要がある。