GMとLG Energy Solutionの電池合弁Ultium Cellsは2026年9月29日、米テネシー州スプリングヒル工場を改修し、リチウム・マンガン・リッチ(LMR)の角形電池セルを量産すると発表した。GMによると、実現すればUltium CellsはLMRセルを商業生産する世界初のメーカーになる見込みだ。
GMはLMRを、現在の低価格電池の主流であるリン酸鉄リチウム(LFP)に対し、エネルギー密度が33%高く、コストは同等になるよう設計したと説明する。
発表の中身
製品
LMR角形セル。将来のGM製EV向け。量産すれば世界初の見込み。
性能目標
LFP比でエネルギー密度33%増、コストはLFPと同等。
スケジュール
建設・設備改修は2026年後半に着手、2028年完了予定。
雇用
新規500人。現在の従業員1,200人に上乗せ。
投資額
LMR改修、ESS用LFPセル生産、工場改善の合計で2030年までに10億ドル(テネシー州経済・地域開発局)。
テネシー州経済・地域開発局によると、スプリングヒル工場では2026年6月から、LG Energy Solution Vertechの顧客向けにESS(定置用蓄電)用のLFPセルも生産している。LMRの改修、ESS用LFPの生産、工場改善を合わせた投資額は2030年までに10億ドルに達する見通しだ。
3つの化学系をどう使い分けるか
LMRはマンガンを多く使い、ニッケルやコバルトの使用量を抑える正極材の系統だ。GMの説明では、ハイニッケルは航続距離の最上位、LMRはLFPと同じ価格帯で密度を引き上げる役割を担う。
スプリングヒル工場は、2021年に両社が23億ドル超・1,300人の雇用で設立を発表し、2022年に2億7,500万ドル・400人の拡張を加えた拠点だ。EV用のセル工場として建てられたが、今はESS用LFPとEV用LMRを同じ敷地で作る工場へ姿を変えつつある。
GMの電池供給網では、8月にSamsung SDIがインディアナ州の合弁を完全子会社化し、ESS向けに転換したばかりだ。EVの需要が想定を下回るなかで、北米の電池工場はEVとESSの両方を作れる設計へ寄せている。
調達・設計にとっての意味
- 低価格EVの電池選定:LFP一択だった価格帯に、密度で上回る選択肢が加わる可能性がある。ただし量産開始は2028年の改修完了以降で、33%・同等コストはGMの設計目標であり量産実績ではない
- 材料調達:LMRが立ち上がれば、北米でのマンガン系正極材の需要が増える。ニッケル・コバルトへの依存度を下げたい調達部門にとって、評価を始める材料が増える
- 工場の使い道:同じ工場でEV用とESS用、複数の化学系を作る形が広がると、セルメーカーとの契約もEV需要に連動した単一品目の量契約から変わっていく可能性がある
