新興国に広がるEV ― 主役は中国車
EVの伸びは中国とEUだけの話ではない。新興国でも電動車の販売は拡大しており、その多くを中国ブランドが牽引している。世界市場で中国がどの位置にいるのか、そして新興国でどう浸透しているのかを一次情報で整理する。
中国 ― 生産7割・販売3分の2の供給基地
まず規模を押さえる。中国の2024年の電動車販売は1,100万台超で、世界販売の約3分の2を占めた。生産でも中国は世界の7割超を担い、輸出でも最大シェアにある。つまり中国は自国市場だけでなく、世界に車を送り出す供給基地になっている。新興国でEVが増えるとき、その車が中国製である確率は高い。
新興国市場 ― ブラジルとタイの異なる対応
新興国の受け止め方は一様ではない。ブラジルでは2024年のEV販売が倍増し、その85%超を中国車が占めた。市場を開いた結果、中国ブランドが一気にシェアを取った例だ。
一方タイは、条件付きで受け入れる戦略を採る。タイのEV優遇策「EV 3.5」では、輸入したBEV1台につき国内でBEV2台を生産するコミットが求められる。安価な中国車を入れつつ、国内に生産と雇用を残そうとする設計だ。新興国は「開放」と「国内生産の確保」の間で、それぞれの落とし所を探っている。
商用車にも広がる電動化
電動化は乗用車にとどまらない。2024年の電動トラック販売は約80%増と高い伸びを示し、その世界販売の80%超を中国が占めた。乗用・商用の両面で、中国が量を握る構図は共通している。
中国=世界の供給基地
2024年の中国EV販売は世界の約2/3、生産は7割超。輸出でも最大シェアで、新興国に流れる車の多くが中国製。
ブラジル:開放で中国車85%超
2024年EV販売が倍増し、その85%超を中国車が占めた。市場開放で中国ブランドが急速にシェア獲得。
タイ:条件付きで受け入れ
EV 3.5は輸入BEV1台に国内BEV2台の生産コミットを要求。安価な中国車を入れつつ国内生産を確保。
商用車も中国主導
2024年の電動トラックは約80%増、世界販売の80%超を中国が占有。乗用・商用とも量は中国が握る。
事業への影響と確認ポイント
新興国のEV拡大は、中国製EVの世界展開と表裏一体で進む。サプライヤーや製造業にとっては、進出先ごとに「市場開放型(ブラジル型)」か「国内生産要件型(タイ型)」かで、競争条件と現地化の必要度が変わる。安価な中国車と同じ土俵で戦うのか、現地生産要件を使って棲み分けるのか——市場ごとの制度設計を読むことが、新興国戦略の出発点になる。世界・地域の構図は関連記事で扱う。
