中国のSiC(炭化ケイ素)基板メーカー、山東天岳先進科技(SICC、上海証券取引所688234・香港取引所2631)は2026年10月21日、2026年第3四半期報告を開示した。7〜9月期の売上高は6億4559万元で、前年同期比102.89%増と約2倍になった。1〜9月期の売上高は15億5924万元(同40.22%増)で、同社は過去最高だとしている。
7〜9月期で黒字に転換
※2025年7〜9月期は、2026年7〜9月期の売上高と前年同期比の増加率(102.89%)から算出した。
7〜9月期の親会社株主に帰属する純利益は8583万元で、前年同期の赤字から黒字に転じた。非経常損益を除く純利益は9617万元。7〜9月期の非経常損益には、金融資産・負債の公正価値変動などによる2907万元の損失が含まれる。
1〜9月期の純利益は2722万元(前年同期比2330.24%増)で、7〜9月期の単独の利益を下回る。差し引くと、1〜6月期は約5862万元の赤字だった計算になり、利益の回復は7〜9月期に集中している。
需要源にAIサーバー電源
SICCは7〜9月期の増収要因として、次の需要を挙げた。
1. 新エネルギー車の800V高電圧プラットフォームの普及による、車載用の導電型基板の出荷増 2. AIサーバーの高電圧電源(同社は「中核となる新たな需要」と位置づけた) 3. 太陽光・蓄電、大電力の超急速充電
同社はまた、業界の基板メーカーによる技術改良と生産管理の精緻化でSiC基板のコストが大きく下がり、SiCパワーデバイスが一部の用途でシリコン系デバイスとの経済的な分岐点に近づいていると説明した。新エネルギー車、データセンター、固体変圧器(SST)、産業用電源の需要が伸びているという。AIデータセンターでのSSTの実装例はSiC固体変圧器の受注動向で取り上げた。
研究開発費は減り、設備投資は増える
7〜9月期の研究開発投入は4114万元で、前年同期比13.32%減った。売上高に対する比率は6.37%で、8.55ポイント下がった。一方、9月末の建設仮勘定は3億3664万元と、前年度末(1億2881万元)の約2.6倍に膨らんだ。棚卸資産も11億8247万元と、前年度末の10億6344万元から増えている。
調達・事業企画担当にとっての意味
- 8インチ化は中国でも主流に:SICCでは8インチ品が売上の過半に達した。InfineonもWolfspeedと200mm SiCウェハの供給契約を結んでおり、基板の世代交代が地域を問わず進んでいる。6インチ品で設計・認定したデバイスの供給期間を確認しておきたい
- コスト低下は需要拡大の前提として語られている:基板メーカー自身が、コスト低下でSiCがシリコンとの分岐点に近づいたと説明している。デバイスの調達価格を交渉する際の材料になる
- AIデータセンター電源がSiC需要の柱に:EVに加えてAIサーバー電源とSSTが需要源として明記された。SiC基板の需要が、EVの販売動向だけに左右される構図から変わりつつある
- 公表されていない点:四半期報告は、8インチと6インチの出荷枚数、平均販売価格、生産能力を示していない