InfineonとWolfspeedは2026年10月15日、200mm SiCウェハの複数年供給契約を新たに結んだと発表した。両社の供給関係は20年を超える。Infineonは、Wolfspeedからの既存の調達を150mmから200mmの基板へ移すことで、自社の200mm SiC製造への転換を直接支えるとしている。

契約金額、供給数量、契約期間はどちらの発表にも書かれていない。

両社の発表で異なる「150mmの扱い」

同じ契約でも、両社の説明には違いがある。

見るポイント
01

Infineonの説明

新たな複数年の供給契約。既存のWolfspeedからの調達を150mmから200mmへ「移行」させる。

02

Wolfspeedの説明

既存の長期供給契約の「拡大・延長」。既存の150mm供給に200mmを「追加」する。

03

共通点

200mm SiCウェハの供給が加わること。20年超の取引関係の上に立つこと。

04

非公表

契約金額、数量、期間、150mm供給の終了時期。

Infineonの表現どおりなら150mmは段階的に縮小し、Wolfspeedの表現どおりなら当面は150mmと200mmが並行する。どちらにしても、Infineon向けの基板の中心が200mmへ移る方向は両社で一致している。

Wolfspeedは本契約で、SiC市場における欧米系の主要メーカーとしての地位を強めるとした。同社は10月7日に米国防総省から最大15億ドルの条件付き融資確約を得たばかりで、大口顧客との200mm契約が続いた形になる。

Infineonが200mmに移る理由

Infineonの200mm SiC量産の中核は、マレーシア・クリム(Kulim)の工場だ。同社はこの工場を、世界最大で最も競争力のあるSiC製造拠点となるよう設計したとしている。基板は複数の供給元から調達する方針で、Wolfspeedはその一つという位置づけになる。

需要面では、InfineonはAIデータセンターがSiCパワー半導体の大きな需要源として現れ始めたと述べた。データセンターの電力変換効率はハイパースケーラーにとって直接の運用コストで、SiCはシリコンが実用上の限界に達する特定の変換段に向くとしている。EV駆動系、太陽光インバータ、産業用モータドライブとあわせ、200mm基板の長期的な見通しは強いとした。

Wolfspeedの発表は、Yoleの「Power SiC 2026 – Markets and Applications」報告を引き、世界のSiCパワーデバイス市場が2024年の34億ドルから2031年に111億ドルへ、3倍超に拡大すると見込まれるとしている(第三者調査の数値)。

調達・設計担当にとっての意味

  • 150mm品の寿命を確認する:大手デバイスメーカーの基板調達が200mmへ移ると、150mmラインの製品は世代交代の対象になりやすい。150mm基板で作られたSiCデバイスを採用している場合、供給継続の期間をメーカーに確認しておきたい
  • 単一契約で供給リスクを判断しない:Infineonは基板を複数社から調達する。Wolfspeedとの契約だけでInfineon製SiCの供給安定性を評価するのではなく、基板メーカー各社の200mm・300mmの進捗もあわせて見たい
  • Wolfspeedの顧客基盤:Wolfspeedはルネサスとの10年契約に続き、Infineonとの200mm契約を得た。融資の実行条件にはオフテイク(引取)契約も含まれており、大口顧客との長期契約は同社の財務面の評価にも関わる

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