米カリフォルニア州の気候開示制度が、初回報告の直前に法的に確定した。州行政法局(OAL)は州大気資源局(CARB)の気候開示初期規則を承認し、2026年10月12日に州務長官へ登録した。規則は登録と同時に発効した。
これで、SB 253(気候企業データ説明責任法)に基づくScope 1・2排出量の初回報告期限は2026年11月10日に確定した。CARBは11月10日より前に規則を発効させるため、9月18日付で登録日を発効日とする「早期発効」をOALに求めていた。
期限は8月10日から11月10日へ
2026年2月の承認時点では、初回期限は8月10日だった。その後、手続きは次のように進んだ。
- 2026年2月26日CARB理事会が規則を承認
決議26-1で初期規則の採択を承認。
- 2026年5月20日OALへ最終書類を提出
最終理由書(FSOR)などを提出。
- 2026年6月23日提出をいったん取り下げ
要件の一部を明確にする限定的な修正のため。
- 2026年7月27日〜8月11日15日間の修正手続き
Scope 1・2の初回期限を8月10日から11月10日へ延期する修正案を公表。
- 2026年9月21日OALへ再提出
9月18日付で早期発効を要請。
- 2026年10月12日OAL承認・登録・発効
州務長官への登録と同時に発効。
- 2026年11月10日Scope 1・2の初回報告期限
2026年はScope 3の報告は不要。
- 2026年12月10日手数料決定通知の期限
通知日から60日以内に納付。
初回報告で求められること
規則第96076条によると、報告対象企業は該当する前会計年度のScope 1・2排出量を11月10日までに報告する。Scope 3は2026年は不要で、親会社レベルでの連結報告も認められる。
初回報告に限り、二つの経過措置がある。
既存データでの報告
2024年12月5日以前に保有・収集していた情報から算定できる前会計年度のScope 1・2排出量を報告すればよい。
不提出の声明
同日以前にScope 1・2の情報を保有・収集していなかった場合、その旨を社用レターヘッドで提出すれば報告に代えられる。
対象の会計年度
会計年度末が2月1日以前ならその暦年に終わる年度、2月1日より後なら前暦年に終わる年度(データがあれば直近年度も可)。
連結
報告も手数料納付も親会社でまとめられる。その場合、対象子会社の個別対応は不要。
会計年度の規定に従うと、3月決算の企業は原則として2026年3月期ではなく2025年3月期のScope 1・2を報告することになる。
報告の後に来る手数料と記録保存
規則は報告とは別に、年次の手数料を定める。CARBは2026年以降毎年12月10日までに、報告対象企業(年収10億ドル超)と対象企業(年収5億ドル超)へ手数料決定通知を送る。企業は通知日から60日以内に納付し、遅れると延滞料がかかる。手数料額は、制度の運営に必要な費用を対象企業の数で割る算式で毎年決まる。
あわせて、収益と州内事業の基準を満たしていることを示すカリフォルニア州の税務記録を5年間保存し、求めがあれば提出する義務がある。
対象かどうかの判定
州内事業(doing business in California)の判定は、州歳入課税法第23101条の基準による。非営利団体、保険業、政府が過半を所有する企業、州際の電力卸売だけを行う企業、州内の活動が給与支払い(在宅勤務者を含む)だけの企業は対象外となる。
SB 261は執行停止のまま
年収5億ドル超の企業に気候関連財務リスクの報告を求めるSB 261は、第9巡回区連邦控訴裁判所が2025年11月18日に執行を一時差し止めた。CARBは差し止めが解かれるまでSB 261を執行しない。ただし手数料の規定はSB 261の対象企業も含めて定められている。
連邦レベルでは、SECが2026年6月3日に気候開示規則の撤回案を公表している。米国では、州法に基づく排出量開示だけが先に動く形になった。
実務担当にとっての意味
- 11月10日までの選択肢を決める:既存データで報告するか、データがなかった旨の声明を出すかを判断する。声明で済ませる場合も、2024年12月5日時点でデータを持っていなかったことの社内記録を残しておきたい
- 報告対象の会計年度を確認する:3月決算など2月1日より後に年度が終わる企業は、原則として前暦年に終わった年度が対象になる
- 手数料の受け皿を用意する:12月10日までに通知が届き、60日以内の納付が必要になる。連結納付をするなら、どの法人が通知を受け取るかを事前に決めておく
- Scope 3は今回の規則の対象外:SB 253そのものはScope 1〜3の年次開示を定めているが、今回の規則は2026年の報告でScope 3を求めないとした。サプライヤーとして顧客からScope 3のデータ提供を求められる時期は、CARBの次の規則化で見えてくる
