24兆ドル規模のFTA、輸出の99.5%が優遇関税対象に
インド政府広報局(PIB)の発表によると、インドとEUは2026年1月27日にFTA(自由貿易協定)交渉の妥結を発表した。両経済圏の合計市場規模は約24兆ドルに達し、20億人の消費者を抱える市場アクセスが開かれる。2024-25年のインド・EU物品貿易は約1,365億ドル規模(インドのEU向け輸出は約758億ドル)で、サービス貿易も含めた年間貿易規模は2,000億ドル超に達する。
FTAにより、インドは貿易額ベースで99.5%、関税品目の97%で欧州市場への優遇アクセスを確保する。このうち70.4%の関税品目(インド輸出の90.7%)は即時関税撤廃の対象で、繊維・皮革・履物・茶・コーヒー・宝飾品などが含まれる。残る品目も段階的に対応し、20.3%の品目(貿易額の2.9%)は3〜5年かけてゼロ関税へ移行、6.1%の品目は関税率引き下げの優遇対象となる。FTA文書はMSMEs(中小零細企業)の欧州バリューチェーン統合を明示的な政策目標に掲げている。
報道によるCBAM専用附属書——検証・承認・能力構築
EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)は2026年1月1日に正式発効しており、鉄鋼・アルミニウム・セメントなど炭素集約型製品の輸出者への課徴金の本格徴収は2027年1月から始まる。この点についてインド商務省のダルパン・ジャイン追加長官が2026年7月30日、インド・独商工会議所(IGCC)の産業対話イベントで言及した内容を複数のインド経済メディアが報じている。
報道によると、ジャイン氏はFTAのテキスト内にCBAMに特化した独立の附属書(Annexure)が設けられたことを明らかにし、CBAMがFTA交渉全体で「多くの交渉資本を費やした」項目だったと述べたという。附属書は、①製品の内包炭素排出量の検証方法に関するEUとの協力、②インドの検証機関をEU当局が承認するための手続き整備、③CBAM対応能力が不十分な中小企業への能力構築支援、の3本柱で構成されるとされる。ジャイン氏はSMEの懸念点として、EU認定検証機関の確保・内包炭素量の把握・検証機関のEU承認、の3点を挙げたと報じられている。さらに、EUが将来CBAMに柔軟措置を認めた場合は同じ措置がインドにも自動適用される条項や、インド国内の炭素価格をEUでのCBAM負担から相殺できる条項も含まれるという。これらCBAM附属書の詳細はメディア報道に基づくもので、附属書の原文や商務省の公式発表は本稿執筆時点で確認できていない。
妥結と市場規模
2026年1月27日妥結。合計市場規模24兆ドル、貿易額99.5%が優遇関税対象(PIB発表)。
段階的な関税撤廃
70.4%の品目は即時撤廃、20.3%は3〜5年かけて撤廃、6.1%は優遇税率(PIB発表)。
CBAM附属書(報道)
検証機関のEU承認・内包炭素算定・中小企業支援の3本柱。附属書原文は未確認。
インド企業にとっての実務上の意味は明確だ。鉄鋼・アルミニウム輸出企業は2027年1月の本格徴収までに、内包炭素の算定体制とEU承認済み検証機関の確保を進める必要がある。附属書の具体的な運用細則は今後の焦点になる。
