半導体の後工程(パッケージング・テスト)受託で米国本社の最大手、Amkor Technologyは2026年10月26日、7〜9月期決算を発表した。売上高は19億9100万ドルで前年同期(19億8700万ドル)とほぼ同じだったが、粗利率は18.3%と前年同期の14.3%から4ポイント上がった。純利益は1億9100万ドル(前年同期1億2700万ドル)、希薄化後1株利益は0.76ドル。
出所:Amkor Technology 2026年7〜9月期決算発表(2026年10月26日、SEC Form 8-K)
スマートフォン向けの比率が大きく下がった
コンピューティングはデータセンター、インフラ、PC、ストレージ。通信はスマートフォン、タブレット。2026年4〜6月期はコンピューティング22%、通信42%。出所:Amkor Technology 決算発表
最終市場別では、データセンター、インフラ、PC、ストレージを含むコンピューティングが26%(前年同期19%、4〜6月期22%)に上がった。スマートフォン・タブレットの通信は37%(同51%、42%)に下がり、自動車・産業は22%(同16%)、民生は15%(同14%)だった。ケビン・エンゲルCEOは、コンピューティングと自動車・産業で過去最高の売上を記録し、通信は想定どおり弱かったと述べた。
上位10社の顧客が売上に占める比率も66%と、前年同期の73%から下がった。
先端製品は減り、ワイヤボンドは増えた
製品別では、フリップチップ、メモリ、ウェハレベル処理を含む先端製品の売上が16億3200万ドルで、前年同期の16億8400万ドルを下回った。ワイヤボンドなどの主流製品は3億5900万ドルと、3億300万ドルから増えた。先端製品の売上が減る中でコンピューティングの比率が上がっており、先端製品の中で用途の入れ替わりが起きている。ただし製品別と市場別を掛け合わせた内訳は開示されていない。
出所:Amkor Technology 決算発表
粗利率は会社見通しに届かず、設備投資は下限へ
前年比では改善したが、7月に示した7〜9月期の見通し(粗利率18.5〜19.5%)と比べると、実績の18.3%は下限を0.2ポイント下回った。売上高(見通し19億5000万〜20億5000万ドル)と純利益(同1億8000万〜2億500万ドル)は範囲内だった。
前年同期からの粗利率の改善4.0ポイントは、材料費の売上高比率が57.5%から50.7%に下がった効果(6.8ポイント)でほぼ説明できる。減価償却費・労務費・その他の製造費はいずれも比率が上がり、合わせて2.8ポイント押し下げた。9月末の現金・短期投資は24億ドル、総負債は25億ドル。
各費用の売上高に対する比率の変化。出所:Amkor Technology 決算発表
10〜12月期の見通しは、売上高19億〜20億ドル、粗利率18.0〜19.0%、純利益1億6000万〜1億8500万ドル。2026年通期の設備投資は約25億ドルに修正した。7月時点では25億〜30億ドルとしており、レンジの下限に寄せた形だ。
調達・事業企画担当にとっての意味
- OSATの稼働がデータセンター向けに振り向けられている:Amkorではコンピューティングの比率が1年で7ポイント上がった。NVIDIAは基板・後工程・テストの増産計画でAmkorの韓国での増強を挙げている。データセンター向けの後工程を委託する企業は、OSATの能力がどの用途に配分されるかを確認しておきたい
- 前工程の好調との差:TSMCは7〜9月期にHPCが売上の68%に達した。Amkorの売上が前年並みにとどまったのは、通信向けの減少がコンピューティングと自動車・産業の伸びを相殺したためで、AI需要の恩恵は後工程では用途の偏りを伴って現れている
- 設備投資の下限修正の読み方:通期の設備投資は約25億ドルと計画レンジの下限になった。アリゾナ拠点の拡大など長期計画との関係は、決算発表では説明されていない
- 公表されていない点:決算発表は、2.5D/3Dなど先端パッケージの方式別売上や、顧客別の内訳を示していない
