NVIDIAは2026年10月21日、独ベルリンで開いた開発者会議GTC Berlinで、サプライチェーンのパートナー6社と製造能力の拡大計画を発表した。対象は基板、先端パッケージング、テスト、光エンジンで、いずれもウェハの前工程の後に続く工程だ。
参加するのはAmkor Technology、IBIDEN、King Yuan Electronics(KYEC)、Samsung Electro-Mechanics、Siliconware Precision Industries(SPIL)、Unimicronの6社。ジェンスン・フアンCEOは「需要は桁外れで、能力が制約になっている」と述べた。
工程別の計画
- 2027年2月シンガポールのテスト拡張分が量産
NVIDIAのテスト総能力は2026年から2027年に倍増する見通し。
- 2027年4月KYECの米国テスト拠点が量産
NVIDIAが11億ドルの能力予約前払い金で新拠点と設備を支える。
- 2027年第2四半期Unimicron(台湾)が基板能力を追加
KF工場の拡張。2028年半ばにフル稼働。
- 2027年半ばSPILのCPO光エンジン能力が15倍
台湾で拡張。2028年末までにさらに倍増を目指す。
- 2028年第1四半期IBIDEN大野工場の追加能力が立ち上がり
NVIDIAの数十億ドル規模の前払い金で、能力を現在の3倍に。
- 2028年末Amkor(韓国)のインターポーザー能力が300%超増
韓国での新しい製造拠点の開発とあわせて進める。
基板については、NVIDIA製品向けの能力を今後3年で2.5倍にする。IBIDENは日本の大野工場(Ono Plant)、Samsung Electro-Mechanicsは韓国の既存拠点と世宗(セジョン)・釜山の新工場、Unimicronは台湾のKF工場で増産する。Samsung Electro-Mechanicsは今回新たにNVIDIAの基板供給網に加わり、2028年までにNVIDIA向けの生産が同社のパッケージ基板の年間能力のかなりの部分を占める見通しだ。
先端パッケージングでは、NVIDIAとAmkorが韓国でインターポーザーのウェハ能力を2028年末までに300%超増やすことを目指す。インターポーザーは、GPUとHBMを並べて接続する2.5D実装の土台になる部材で、NVIDIAは現行世代と次世代のプラットフォームの生産量拡大に充てるとしている。Amkorは米アリゾナ州でも先端パッケージング拠点の拡張を進めている(Amkorのアリゾナ拠点拡大)。
顧客が供給側の能力に資金を出す
今回の発表で目立つのは、NVIDIAが供給側の設備投資に直接お金を入れている点だ。IBIDENには数十億ドル規模、KYECには11億ドルの能力予約前払い金を出し、Unimicronとは能力予約契約を結んだ。
もう一つの特徴は地理的な分散だ。基板は日本・韓国・台湾、パッケージングは韓国、テストは米国・台湾・シンガポールに分かれる。NVIDIAは今回の計画の狙いを、供給網の回復力と冗長性を高めることだと説明している。
調達・事業企画担当にとっての意味
- 基板と後工程の能力は先に押さえられる:IBIDEN、Samsung Electro-Mechanics、Unimicronの増産分は、NVIDIAとの契約が前提になっている。同じ基板メーカーからAI向け以外のパッケージ基板を調達する企業は、自社向けの割り当てと納期を早めに確認したい(ABF基板の増産動向はAT&SとIBIDENの増産を参照)
- 2.5D実装の供給源が増える:Amkorの韓国でのインターポーザー増強は、TSMCのCoWoSが中心だった2.5D実装の能力を補う(CoWoS/2.5D実装の競争)。インターポーザー工程を外部OSATに出す選択肢が現実味を増す
- 光エンジンが新しいボトルネックに:CPOの光エンジンは15倍という大きな拡張目標が掲げられた。ネットワーク機器メーカーや光部品メーカーにとって、実装工程の確保が論点になる
- 公表されていない点:各社の投資総額、Amkorの韓国新拠点の場所と稼働時期、Samsung Electro-Mechanicsとの取引条件は明らかにしていない
