BMWグループは2026年10月15日、中国・瀋陽で第6世代(Gen6)高電圧バッテリーの量産を始めたと発表した。ハンガリーのデブレツェン、ドイツのイルバッハ=シュトラスキルヒェンに続き、Gen6のグローバル生産網で3か所目の拠点になる。
瀋陽で生産するバッテリーは、中国で生産する今後の次世代EV「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」に搭載する。
5拠点の生産網
- 稼働済みデブレツェン(ハンガリー)
Gen6生産網の欧州拠点。
- 稼働済みイルバッハ=シュトラスキルヒェン(ドイツ)
Gen6生産網の欧州拠点。
- 2026年10月15日瀋陽(中国)
3拠点目として量産開始。中国生産のノイエ・クラッセ向け。
- 今後数か月ウッドラフ(米国)、サンルイスポトシ(メキシコ)
バッテリー組立拠点で量産開始の予定。
BMWは、Gen6バッテリーを各車両工場の近くで生産する方針をとる。輸送距離を短くし、供給を安定させ、生産網の回復力を高める狙いだ。生産・品質・安全の基準は全拠点で統一し、各拠点は地域の製造・サプライヤーの知見を持ち寄るとしている。米国・メキシコが立ち上がれば、欧州・中国・北米の5拠点体制になる。
Gen6で変わる点
もう一つの柱が、BMWが独自に開発した中央制御ユニット「Energy Master」だ。バッテリーの上に直接配置し、電力供給と電池管理の主要機能を一つにまとめる。
組立工程と品質保証
BMWが示したGen6の組立工程は次のとおり。
1. セルを検査し、冷却ユニットと組み合わせてセルクラスターにする 2. レーザー洗浄の後、セルクラスターとセル接続系を精密溶接する 3. 専用の発泡工程で部品を一体の構造体として接着する 4. ハウジングを閉じ、密封・リベット留めする 5. Energy Masterを取り付け、全数の完成検査を行う
レーザー溶接部はインライン検査でリアルタイムに監視し、デジタルツインやデータ分析、AIを使った検査で異常を早期に見つけ、追跡できるようにしている。セルクラスターを溶接と発泡接着で一体化する構造のため、品質保証の重心は工程内のデータ監視に置かれている。
調達・事業企画担当にとっての意味
- 電池パックは車両工場の近くで組む:BMWはGen6で、パック組立を車両の生産地に置く方針を欧州・中国・北米で揃える。セルや部材のサプライヤーにとっては、地域ごとの供給体制を求められる場面が増える
- 公表されていない点:今回の発表は、瀋陽拠点の投資額、生産能力、セルの調達先を明らかにしていない。中国でのセル調達先がどこになるかは、引き続き確認が必要になる
- 工程監視の要求水準:インライン検査やトレーサビリティを前提にした工程では、部材メーカーにもロット単位のデータ提供が求められやすい。電池の熱伝播リスクによるリコールのように原因の特定に時間がかかる例もあり、追跡できる工程の価値は大きい
