コネクテッド車のサプライチェーンから中露を排除する規則

米国は、安全保障を名目にコネクテッド車のサプライチェーンから中国・ロシアを排除する規則を導入した。これはEVに限らず通信機能を持つ車両全般に効くが、車載ソフト・通信を多用するEVのサプライチェーンに重い論点となる。何が、いつから、どこまで禁止されるのかを一次情報で整理する。

何が禁止されるのか

規則の核は、中国・ロシア由来の車両接続システム(VCS)を車から締め出すことだ。PRC(中国)・ロシア由来のVCSハードウェアの輸入と、対象ソフトウェアを搭載した車両の販売・輸入が禁止される。さらにこの禁止は完成車だけでなく、部品単体の取引も対象とし、サプライチェーン全体をカバーする。カメラ・マイク・GPS・インターネット接続など、通信を直接担うハード・ソフトが広く射程に入る。

いつから ― 発効と移行期限

時間軸も実務上の要点だ。コネクテッド車規則は2025年3月17日に発効した。既存モデルにはMY(モデルイヤー)2027とMY2030の移行期限が置かれ、段階的に適用される。加えて、適合宣言は初回の輸入・販売の60日前までに提出が必要となる。つまり「いつ売るか」から逆算して、調達と書類提出のスケジュールを組む必要がある。

罰則と対象範囲

実効性を担保するのが罰則だ。違反には1件あたり36万8,136ドルの民事罰と、最大100万ドルの刑事罰が示されている。規制当局(BIS)は、影響を受ける事業者を27〜215社と推定している。対象は限られた数の事業者だが、サプライチェーンを通じて広く波及し得る。

対中コネクテッド車規制のポイント
01

禁止対象

中露由来のVCSハード輸入と、対象ソフト搭載車の販売・輸入を禁止。完成車だけでなく部品単体取引も対象。

02

時間軸

2025年3月17日発効。既存モデルはMY2027/MY2030の移行期限。適合宣言は販売・輸入の60日前提出。

03

罰則

民事罰1件36万8,136ドル、刑事罰は最大100万ドル。BISは影響事業者を27〜215社と推定。

04

実務インパクト

車載通信・ソフトの調達先マッピングと、宣言提出の前倒しが必要。EVのサプライチェーン脱中国が制度化。

事業への影響と確認ポイント

この規則は、EVのサプライチェーンに「脱中国」を制度として組み込む。確認すべきは、自社・取引先の車載通信部品とソフトに中露由来のものが含まれていないか、MY2027/2030の期限に対して切替が間に合うか、適合宣言の提出体制があるか——である。対象事業者は限られるが、部品単体まで射程に入るため、サプライチェーンの可視化が出発点になる。市場全体の二極化や中国の輸出攻勢は関連記事で扱う。

参照ファクトカード